2023年03月17日

静嘉堂@丸の内「お雛さま 岩ア小彌太邸へようこそ」

 昨年10月、静嘉堂文庫美術館様の展覧会場が、千代田区丸の内に場所を移し、開館されました。
 世田谷区岡本の小高い山にある静嘉堂文庫美術館様は、自然豊かな中にあり、心静かにゆっくりと鑑賞ができる、大好きな美術館でありました。そこが馴染み深い者にとっては、「静嘉堂@丸の内」の会場は、驚くばかりです。東京丸の内という素晴らしい立地、豪壮で綺麗な重文建築である明治生命館、スタイリッシュな展示室…入館すると気持ちが昂ぶります。
 今回の展覧会は、「新美術館開館記念展V」ということで、丸の内では三番目の企画展になります。サブタイトルの岩ア小彌太邸とは、昭和4年12月に港区六本木の鳥居坂に建てられた三菱4代社長岩ア小彌太夫妻の本邸で、巨匠大江新太郎先生の設計による名建築だったのですが、残念ながら昭和20年5月の空襲で焼失してしまったそうです。展覧会では、この外観や内装などの写真を観ることができるので、この立派な建築物に思いを馳せることができます。今回の目玉的な作品は、タイトル通り五世大木平蔵作の『岩ア家雛人形』です。とても可愛らしい稚児雛で、装束や装飾品が精緻で美しく、表情も各々が生き生きしていて、観ていて楽しくなります。鳥居坂本邸に飾られていた時は、客間が煌びやかになり、孝子夫人を和ませ癒していたと思われます。
 静嘉堂様を代表する至宝である、国宝『曜変天目』も出展されています。
 3月26日㈰まで開催されていますので、心和ませ、癒されに行かれてみてはいかがでしょうか。

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会場中央のホワイエ

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「お雛さま」展 入口
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2023年03月04日

公益財団法人 庄内能楽館様 所蔵作品修理事業(第7期)

 山形県酒田市にございます庄内能楽館様の所蔵作品の修理事業を承っております。その第7期として、下村観山『江口』(掛軸装、対幅)を修復いたしました。
 右幅には修行僧である西行法師が、左幅には白象に乗った江口君が描かれています。
本紙には茶褐色のカビが付着しており、表装に糊浮きや浪打ちがみられました。作業前にカビの処理として燻蒸したうえで、剥落止め、表打ちを行い、解装、肌上げ、本紙洗浄、肌裏打ち、増し裏打ちの工程を経て、上下の裂は新調し中廻し・一文字は元使いをして、掛軸装に仕立て上げました。巻き癖を弱める太巻き芯、桐箱を誂えて納めさせていただきました。
 今回も理事長の池田宏様にはたいへんお世話になりました。誠にありがとうございました。

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左幅 修理前

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左幅 修理後