2023年03月04日

公益財団法人 庄内能楽館様 所蔵作品修理事業(第7期)

 山形県酒田市にございます庄内能楽館様の所蔵作品の修理事業を承っております。その第7期として、下村観山『江口』(掛軸装、対幅)を修復いたしました。
 右幅には修行僧である西行法師が、左幅には白象に乗った江口君が描かれています。
本紙には茶褐色のカビが付着しており、表装に糊浮きや浪打ちがみられました。作業前にカビの処理として燻蒸したうえで、剥落止め、表打ちを行い、解装、肌上げ、本紙洗浄、肌裏打ち、増し裏打ちの工程を経て、上下の裂は新調し中廻し・一文字は元使いをして、掛軸装に仕立て上げました。巻き癖を弱める太巻き芯、桐箱を誂えて納めさせていただきました。
 今回も理事長の池田宏様にはたいへんお世話になりました。誠にありがとうございました。

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左幅 修理前

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左幅 修理後

2023年01月18日

日本郵船歴史博物館様 旧丸の内日本郵船ビル関連図面 修理事業

 横浜市の海岸通にございます日本郵船歴史博物館様より、旧丸の内日本郵船ビル関連図面の修理事業のご発注いただき、先日納めさせていただきました。
 青図やトレイシングペーパーの図面など70枚以上の稀少な図面です。これまで2期に亘って修理作業を担当させていただきましたが、今回は最後の3期目として2期までに未作業だった、ドライクリーニング、欠損箇所の繕い、破れ箇所の補修、テープ剥がし、フラットニング、折れ伏せ、保存用ホルダーへの入れ込み作業を行いました。これで欠損のあった箇所は繕われ、折れ癖のあった図面はフラットになり、全ての史料が透明の保存用ホルダーに収まりましたので、扱い易くなりました。
 今回も日本郵船歴史博物館の鈴木久美子先生にはたいへんお世話になりました。誠にありがとうございました。

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修理された図面

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横浜海岸通りの名建築、日本郵船歴史博物館様 外観

2022年09月02日

長安寺様 芥川龍之介書簡 修復業務

 長安寺様は箱根町仙石原にございます曹洞宗の寺院です。境内には「五百羅漢場」という「羅漢さん」の石像がたくさん置かれている場所があり、その羅漢さんは各々喜怒哀楽の表現があふれていて、親近感がわく仏様です。仙石原に行かれた際には訪れてみてはいかがでしょうか。
 芥川龍之介が室生犀星に宛てた書簡とその封筒を所蔵されており、今回はその修復を御依頼いただきました。額装を解装し、本紙を洗浄、裏打ちを施し、本紙は紙管に丸めて、封筒はそのままの状態で誂えた桐箱に入れ込みました。
 長安寺様にはたいへんお世話になっております。今回もありがとうございました。

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山門


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五百羅漢場

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芥川龍之介書簡

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書簡・封筒用特製桐箱