世田谷区岡本の小高い山にある静嘉堂文庫美術館様は、自然豊かな中にあり、心静かにゆっくりと鑑賞ができる、大好きな美術館でありました。そこが馴染み深い者にとっては、「静嘉堂@丸の内」の会場は、驚くばかりです。東京丸の内という素晴らしい立地、豪壮で綺麗な重文建築である明治生命館、スタイリッシュな展示室…入館すると気持ちが昂ぶります。
今回の展覧会は、「新美術館開館記念展V」ということで、丸の内では三番目の企画展になります。サブタイトルの岩ア小彌太邸とは、昭和4年12月に港区六本木の鳥居坂に建てられた三菱4代社長岩ア小彌太夫妻の本邸で、巨匠大江新太郎先生の設計による名建築だったのですが、残念ながら昭和20年5月の空襲で焼失してしまったそうです。展覧会では、この外観や内装などの写真を観ることができるので、この立派な建築物に思いを馳せることができます。今回の目玉的な作品は、タイトル通り五世大木平蔵作の『岩ア家雛人形』です。とても可愛らしい稚児雛で、装束や装飾品が精緻で美しく、表情も各々が生き生きしていて、観ていて楽しくなります。鳥居坂本邸に飾られていた時は、客間が煌びやかになり、孝子夫人を和ませ癒していたと思われます。
静嘉堂様を代表する至宝である、国宝『曜変天目』も出展されています。
3月26日㈰まで開催されていますので、心和ませ、癒されに行かれてみてはいかがでしょうか。
会場中央のホワイエ
「お雛さま」展 入口